御朱印って何?御朱印帳は必要?マナーを知って楽しく集めよう!
神社やお寺にお参りするといただくことのできる、御朱印(ごしゅいん)をご存じですか?近年、テレビでも取り上げられ、「御朱印ガール」という言葉が生まれるほど、一時期ブームにもなり、多くの人が御朱印を集めるために、神社やお寺に参拝するようになったといわれています。
デザイン性が高く、カラフルなものなど、個性あふれる御朱印が注目され、御朱印の存在が広く知られるようになりましたが、一方で、御朱印の由来や意味を知らないまま集めている方もいるのが現状です。
そこで今回は、御朱印とはどういものなのか、由来や成り立ち、御朱印をいただくマナーについて詳しく見ていきましょう。御朱印についての知識を深めることで、いっそう御朱印集めが楽しくなりますよ。
この記事では以下の内容について書いています。
御朱印って何?
御朱印とは、神社やお寺をお参りした証(あかし)としていただくものです。御朱印帳という専用の帳面に、御宝印(ごほういん)という判子を押印していただいたり、参拝した日付、神社・お寺の名前や、ご本尊の名前などを墨で書いていただきます。
少し前に、御朱印を集める女性のことを「御朱印ガール」と呼ぶなど、御朱印集めがブームにもなりましたが、その魅力はなんといっても、神社やお寺によってそれぞれデザインが異なり、同じものは一つとしてないこと。
古い書体の文字や梵字、ゆかりのある動植物をモチーフにしたもの、シンプルで力強い大きな文字、可愛いものからユニークなものまで、多種多様にあり、その芸術性は海外にも広く知られるほどで、アートとしての側面も持っています。
また、日付やご本尊名を手書きで書いてくれるところも多く、手書きという特別感や、温かみを感じることができるのも人気の一因です。
期間限定のものなどもあり、個性のある御朱印は、集めるのが楽しく、ひそかに趣味にしている人がたくさんいるのです。
御朱印の歴史
御朱印はもともと、お経を写したもの(写経)を納めた証として授けられるものであったとされています。諸説ありますが、中でも有力なのは、江戸時代に行われていた「六十六部廻国聖(ろくじゅうろくぶかいこくひじり)」が起源であるという説です。
六十六部廻国聖とは、法華経(ほけきょう)というお釈迦様の教えをまとめたお経を写経し、日本全国にある66か所の霊場それぞれに、1部ずつ納めていく巡礼のこと。
そして、日付やお経を納めた寺社の由来などが記された「納経請取状(のうきょううけとりじょう)」を、霊場に写経を納めた証として、各寺社から受け取っていました。
昔は神仏習合といって、日本に元来あった神様の信仰である神道と、外国から入ってきた仏教の信仰がひとつの宗教として信仰されていたため、お寺だけではなく神社でもお経が納められていたのじゃ。
その後、18世紀初頭に「納経帳(のうきょうちょう)」を携行して、記帳・押印(納経印)してもらい、一冊にまとめる、というスタイルに変化し、お寺と神社が明確に区別される神仏分離などの歴史的な変遷を経て、現在の御朱印という形になったといわれています。
その名残で、御朱印帳のことを納経帳を呼ぶ寺社もあり、現在でも四国八十八ヶ所や西国三十三所などの霊場では、専用の納経帳が使われています。
御朱印にご利益はあるの?
御朱印を集める方の多くは、御朱印そのものにご利益があることを期待しているわけではなく、神社仏閣巡りや御朱印を拝受すること自体が楽くて集めている方がほとんどではないでしょうか。
そもそも、御朱印は参拝をして、神様や仏様とのご縁を結んだという証です。そのため、御朱印をいただく時点で、すでにご利益をいただいていると考えることができます。
御朱印を集めるということは、それだけ神社仏閣に参拝する回数が増えることなので、その結果何かしらのご利益を感じることができることがあってもおかしくはないのです。
そして、御朱印は神主さんやお坊さんが心を込めて書いてくださる、ご神体やご本尊の分身と同じようなものとされています。そのため、ご利益というよりも、「ありがたいもの」をいただくと考える方が正しいといえます。
人によってはお守りのような存在であったり、楽しい旅の思い出を思い返すものであったりと、その人の信仰心や心持ちに委ねられるものですが、ありがたいものであることには変わりません。できるだけ大切に扱いましょう。
神社とお寺の御朱印の違い
寺社でいただく御朱印は、それぞれ個性があり、デザインも多種多様ですが、基本的な成り立ちは同じになります。何が書かれていて、どんな意味があるのでしょうか。
神社の御朱印
お寺の御朱印に比べ、シンプルなものが多く、比較的読みやすいものになっています。中央に社名が墨書きされ、右上に「奉拝」の文字が入り、参拝年月日、そして社名や神紋などの印が押印されています。
また、神社の由来や、言い伝えなどに関係する動植物などのモチーフが押印されているものも多くあるのが、神社の御朱印の特徴です。
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- 奉拝(右上)
つつしんで参拝しますという意味があります。
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- 神社印(中央)
神社名を刻んだ大きな朱印が中央に押印されます。
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- 神社名(中央)
中央の朱印の上に神社名が大きく墨書きされます。朱印だけの場合もあります。御祭神の名前が書かれることも。
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- 神紋
家紋と同じような神社の紋を押印します。ゆかりのある出来事や動植物、神の遣いをあらわす印が押されることもあります。
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- 参拝年月日
御朱印をいただいた日付
お寺の御朱印
右上に「奉拝」の文字が入り、参拝年月日が入るのは神社と共通ですが、お寺の御朱印は、神社に比べると朱印の数が多いのが特徴です。中央にご本尊やお堂の名前が墨書きされ、御宝印や三宝印などが押されます。梵字で墨書きされることもあります。
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- 奉拝(右上)
つつしんで参拝しますという意味があります。
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- 御宝印、三宝印(中央)
古代インドで用いられた梵字が入った御宝印、「仏法僧宝」の文字が篆書(てんしょ)という字体で刻まれた三宝印などが中央に押印されます。
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- ご本尊名やお堂名(中央)
中央の朱印の上にご本尊やお堂の名前が大きく墨書きされます。
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- 寺院名(左下)
寺院の正式名称が入ります。
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- 寺院印(左下)
寺院名やお堂印が押されます。
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- 参拝年月日
御朱印をいただいた日付
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- 山号や札所の番号印(左上)
官寺・勅願寺・総本山・大本山などの格式をあらわす山号印や、札所番号の朱印が押されます
どちらも共通点は多くあり、明確な違いはなく、基本的な構成は同じです。他にも期間限定の印や手書きの絵を添えるなど、寺社によって独自のデザインがあります。
御朱印帳とは
御朱印帳は、御朱印を書いていただく専用の帳面です。納経帳(のうきょうちょう)、御宝印帳(ごほういんちょう)、集印帳(しゅういんちょう)と呼ばれることもあります。
御朱印は、記念スタンプやサインのようにどこでも書いていただけるものではありません。まれに普通のノートなどに御朱印をいただこうとする方がいますが、それは失礼な行為にあたり、断られることがほとんどです。
御朱印をいただくときは、必ず御朱印帳が必要だということを覚えておきましょう。
御朱印帳はどこで買えるの?
御朱印帳は、神社やお寺、大きな文房具店や仏具店、インターネットの通販など、さまざまなところで購入することができます。ですが、一番おすすめなのは神社やお寺で頒布(はんぷ)されているオリジナルの御朱印帳です。
用意をしていない寺社もありますが、昨今の御朱印ブームの影響もあり、多くの寺社が、その神社やお寺にゆかりのあるものがデザインされた、個性的な御朱印帳を用意するようになりました。
御朱印帳は、お守りなどが購入できる社務所や授与所で購入することができます。気に入った御朱印帳を手に入れてください。
御朱印帳の種類
御朱印帳は、一般的に2つの種類があります。
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- 蛇腹(じゃばら)
アコーディオンのように折りたたみ式になっているもの
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- 和綴じ(わとじ)
紐で綴じた本のようになっているもの
サイズも標準サイズ(約110mm×160mm)と大判サイズ(約120mm×180mm)があり、どちらかというと蛇腹式の標準サイズのものが人気です。
和紙を2枚重ねにして作られているので、裏写りの心配があまりなく、裏も使えることができるのでより多くの御朱印を集めることができます。ただし、紙質や筆圧によっては写ることもあるので、気になる方は表側だけ使うようにしましょう。
蛇腹式は、見返す時も、一気に開くことができ、本のようにめくりながら見るのとはまた違った楽しみ方ができます。
また、持ち主が亡くなった際に、枕元や棺桶の中に屏風のように開いて飾ることができます。
一方、和綴じは紙が薄くページ数が多いので、たくさん御朱印を集める場合に便利です。大判サイズが多いので、御朱印自体に迫力があります。
ただし、綴じている部分に厚みがあるので、文字が書きにくく、朱印を上手に押せない場合があります。裏写りしやすいので、いただいたページの後ろに紙を入れないと墨がにじむことがあります。
どちらのタイプにするかは好みで選びましょう。
神社とお寺の御朱印帳は分けるべき?
御朱印を集めている人にとってよくある疑問が、神社とお寺で御朱印帳を分けた方がいいのか、ということです。
実際には、ほとんどの場合は神社かお寺かということは気にせずに、一冊の御朱印帳にまとめていただくことができるのですが、まれに断られるケースがあるのです。
御朱印の歴史でも触れましたが、そもそも、日本では古来から神道と仏教はひとつであるという神仏習合が一般的でした。そのため、神社でもお寺でも御朱印をいただくことができ、同じ御朱印帳にまとめても問題はないという考え方があります。
ですが、明治時代に出された神仏分離令により、神社とお寺が今のように区別されるようになったため、神社とお寺では御朱印帳を分けて欲しいと考えるところもあるのです。
神様や仏様はおそらくまったく気にしないでしょう。ですが、どうしてもその神社やお寺、そして神主さんや住職さんの考え方によって異なるため、一概にこうだと言い切ることはできません。
各寺社の考えがあるので、一緒に押せないというときは、御朱印帳を分けていただくようにしましょう。その場合は、神社用は神社で購入し、お寺用はお寺で購入したものを使うのがマナーです。
特に、日蓮宗のお寺は、例え同じお寺同士であっても、他の宗派の御朱印と一緒にされるのを拒むところがあります。日蓮宗のお寺は、他の宗派と一線を画す姿勢をとっていおり、御朱印、御朱印帳という呼び方もせず、「お題目帳」と呼ばれる帳面に、ひげ文字とよばれる筆法で「南無妙法蓮華経」と、「お題目」を書いていただきます。
また、四国八十八ヶ所めぐりや西国三十三所などでは、専用の御朱印帳(納経帳)でないといただけない場合もあるので、そのときは別で用意してください。
西本願寺や東本願寺などの浄土真宗の寺院では、基本的に御朱印を授与をおこなっておらんのじゃ。これは、供養のために写経や読経をしてお経を納めるのではなく、ただただ念仏を唱えて仏に祈るという、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の教えなんじゃ。お経を納める納経という考え方がないので、納経印、つまり御朱印そのものが存在しないのじゃ。
御朱印は御朱印帳の好きなところに書いてもらえるの?
基本的に、御朱印帳は書いて欲しいページを開けて出すのがマナーです。そのため、御朱印帳のどのページに書いていただくかは自分で決めることができます。
一日に何度も御朱印をいただく場合、乾きが悪いのでページを飛ばして書いていただきたいなど、御朱印が汚れないように気を付けるのはむしろ良いことなので、気にせず好きなページを開いて出しましょう。
新しい御朱印帳が欲しくなったら?
普段使っている御朱印帳があっても、参拝した先でどうしても気に入った御朱印帳が見つかった場合、新たに購入してもいいのでしょうか。
結論からいうと、手元の御朱印帳にまだ空きがある状態で、新しい御朱印帳を購入するのも、それを使うかどうかも、すべて自由です。
特にルールがあるわけではないので、手元の御朱印帳の続きに御朱印をいただき、新しい御朱印帳は使わずに持って帰ってもかまいません。ですが、御朱印帳と御朱印を一緒にいただくのであれば、最初のページに書いてもらうようにした方がスマートです。
御朱印帳は普段どこに保管すればいい?
御朱印は、神様や仏さまとご縁を結んだ証という意識があれば、自然と大切に保管しようという気持ちが出てくるはず。家に神棚や仏壇がある場合はそこに保管したり、貴重品入れなどに保管しましょう。
大切に扱い、大事にするという気持ちがなによりも大切です。
便利な御朱印帳グッズ
御朱印を集めるには、御朱印帳さえあれば今からすぐに始めることができますが、他にもあると便利な御朱印帳グッズがあるのでご紹介します。
お寺や神社で用意している場合もありますが、御朱印帳の専門店やインターネットの通販などでも購入できます。
透明カバー
御朱印帳とセットでいただけるところも増えてきましたが、御朱印帳が雨や汚れから守るためにも、つけておきたいのが透明のカバーです。
蛇腹式の御朱印帳につけると、本のように開きやすくなり、便利です。
巾着袋
御朱印帳を入れる巾着袋は、御朱印帳を保護しつつ、持ち運びを便利にします。中にはお守りも一緒に入れることのできるポケットがついているものも。
各神社やお寺で御朱印帳とセットで用意している所もあり、御朱印帳と同じ柄の巾着袋は持ち歩くのも楽しくなります。期間限定のものもあるので、ぜひチェックしてみて下さい。
御朱印帳バンド
御朱印帳が開いてしまわないように留めておくバンドです。シンプルなものから、水引やちりめんがワンポイントに入ったものなどがあり、手作りのものを使っている方もたくさんいます。
御朱印帳しおり
本のしおりのように、御朱印をいただきたいページに挟んでおくと、スムーズに開くことができます。すぐに自分でできる、折り紙で作れる簡易な物から、トンボ玉をあしらったもの、各寺社のオリジナルのしおりなどさまざまですが、一般的に和風テイストのしおりが人気です。
御朱印のもらい方!
御朱印帳を用意したら、さっそく御朱印をもらってみましょう。
正しくは、御朱印はもらうのではなく、いただく・授かる・頂戴する・拝受するといいます。そして、寺社側は、授ける・授与するという言い方をします。
御朱印の受付は遅くても夕方には終わることが多く、人の多いところや時期によっては大変混み合うため、時間に余裕を持って訪れましょう。無人の寺社などでは、土日のみ受け付けているという場合もあるので、確認してから行きましょう。
お寺でも神社でも、御朱印をいただく流れは基本的に同じです。それでは、御朱印をいただく流れを見ていきましょう。
御朱印をいただく前に参拝する
御朱印は参拝の証としていただくものです。まずは心を込めてお参りをしましょう。
期間限定の御朱印がいただける時期や、初詣などの混雑時は、先に御朱印帳を預け、参拝中に書いていただく場合もありますが、どちらにせよ参拝するのは基本的なマナーです。
神社での参拝
・鳥居の前で一礼してからくぐる
・手水舎で手と口を清める
・拝殿に向かい、お賽銭を入れ、御鈴(みすず)を鳴らす
・二礼二拍手一礼する
お寺での参拝
・山門前で一礼してからくぐる
・手水舎で手と口を清める
・本堂に向かい、お賽銭を入れ、合掌する
参拝中はスマホの電源を切るかマナーモードにし、帽子を取りましょう。
御朱印をいただく
参拝が終わったら、御朱印をいただく受付に行きましょう。多くの場合、寺務所や社務所でいただくことができ、「御朱印所」「御朱印受付」「御朱印授与所」と別で設けられているところもあります。
ご住職や神職の自宅で受け付けている場合もありますので、わからないときは聞いてみましょう。
御朱印帳のカバーなどは外しておき、書いていただきたいページを開いて、「御朱印を頂戴できますか」「御朱印をよろしくお願いします」などと、丁寧にお願いし、御朱印帳を渡しましょう。受け渡しは基本的に両手で。
書いていただいている間は、雑談や電話などは控え、静かに待ちます。
そして、御朱印代をお支払いして受け取ります。「ありがとうございました」ときちんと感謝の言葉とともに一礼し、両手で受け取りましょう。
御朱印代について
御朱印代は、種類によって異なりますが、300円が多く、御朱印の標準的な金額といえます。その次に多いのが500円で、期間限定のものや特別な日の御朱印になると、1000円以上のものなどもあります。
一番困るのが、金額が決められておらず「お気持ちで」と言われることですが、意外と遭遇することがあり、慣れていない方は戸惑うこともしばしば。
「お気持ちで」というのは、あなたが決めた金額で構いませんという意味ですから、いくらでも大丈夫です。とはいえ、御朱印代が300円の所がほとんどなので、こういう場合も300円が相場だと考えましょう。
お渡しするときは「○○円でよろしいでしょうか」などと一言添えてお渡ししましょう。もし1000円札しかない場合でも、「300円でよろしいでしょうか」と一言お伝えすれば、お釣りをいただけるので心配いりません。ですが、できればお釣りのないように用意しておきましょう。
もちろんお気持ちなので、多く渡したい場合は好きな金額をお渡ししましょう。金額が決まっているところであっても、それ以上のお金を納めることができるところもあります。
書き置きの御朱印
御朱印帳を忘れてしまった、御朱印帳と御朱印をセットでいただこうと思っていたら御朱印帳が売り切れていた、たまたま近くを通りがかったご縁で参拝したなど、御朱印帳が手元にないときは、書き置きタイプの御朱印をいただくことができます。
書き置きとは、あらかじめ御朱印が書かれている半紙のことです。御朱印帳を忘れてしまっても、書き置きタイプを用意している場合はいただくことができるので、聞いてみましょう。そして、後日その御朱印を、御朱印帳に貼り付けましょう。
また、場所や御朱印によっては、書き置きタイプのものしか受け付けていない場合もあり、参拝年月日だけその場で書いていただけるパターンと、そうでないパターンがあります。
御朱印帳に貼るときは、水分の多い水のりよりも、スティックタイプののりなどを使った方が紙が波打ちにくく、綺麗に貼ることができるのでおすすめです。
御朱印の集め方
御朱印は、行く先々で訪れた神社仏閣でいただく、時には遠方まで足を運ぶなど、旅の記念にさまざまな寺社の御朱印をいただくイメージが強いかもしれませんが、同じ神社やお寺で参拝するたびに御朱印をいただいても、もちろんいいのです。
寺社によっては、月ごとで御朱印が変わったり、特定の日にち限定の御朱印などが用意されているところもあり、それを集めるのに毎月参拝に来られる方もいるほど。
地元の神社やお寺で御朱印をいただけるのであれば、定期的に参拝して集めていく、という楽しみ方もできるのです。一年に何回以上参拝しなければならないなど、参拝の回数に決まりはありません。ただし、感謝の気持ちを持って心から参拝することが一番大切です。
御朱印をいただくときの注意点
御朱印のいただき方を一通りご紹介しましたが、悲しい事にマナーが悪かったり、強引にいただこうとする方がいるため、御朱印自体をやめてしまった寺社があるのも現状です。
そうならないためにも、以下のポイントをもう一度ふまえ、マナーを守って御朱印をいただくようにしましょう。
参拝してから御朱印をいただく
何度も繰り返しになりますが、参拝をおろそかにして御朱印集めに夢中になるのは、本末転倒です。今では納経をしなくてもいただける寺社がほとんどですが、あくまでも参拝の証としていただくもの。
必ず心を込めてお参りした後に、御朱印をいただくようにしましょう。
もちろん、今でも納経が必要な寺院もあります。その場合は写経をして、お参りに持参して、納経をしたのちにいただくことができます。納経はしなくてもよいが、せめて般若心経を唱えてから、という場合もあります。その場所のルールに従っていただきましょう。
また、参拝していない家族や友人の分も欲しいといって、同時に何枚もいただくことはできません。お願いすること自体が失礼にあたります。
必ず御朱印帳に書いていただく
御朱印帳を忘れてしまった、持っていないからといって、手帳やノートに書いてもらおうとしてはいけません。御朱印は御朱印帳に書いていただくものです。
もし手元にない場合は、書き置きタイプをいただくようにしましょう。
静かに待つ
御朱印は、ご住職や神職の方が心を込めて書いてくださるものですが、人気の寺社では行列ができ、待ち時間が30分以上かかることも。ですが、いくら待ち時間が長いからといって、大きな声でおしゃべりや電話をしたり、飲食をするなど、周りに迷惑になるようなことは厳禁です。
時間に余裕をもって参拝し、静かにマナーよく待ちましょう。
書き方を指示しない
テレビや雑誌などで見た御朱印と同じように書いて欲しい、この御朱印を書いた人に書いてもらいたいなど、御朱印の書き方についてお願いしてはいけません。
御朱印は一部を除いて、一枚ずつ手書きで書かれているため、同じ御朱印でも書き手によって違いが出るものです。そのため、希望の御朱印と違うからといってクレームを出すのは言語道断。
むしろその違いを楽しむのも御朱印の醍醐味です。無茶なお願いはやめましょう。
高額紙幣は控える
御朱印はだいたい300~500円ほどです。もちろんお釣りはいただけますが、1万円などの高額紙幣を出すのは少し考えもの。スマートに受け渡しができるように、なるべくお釣りがでないように用意しておきましょう。
受付時間内にお願いする
当たり前ですが、御朱印がいただける受付時間が過ぎてしまうと、御朱印をいただくことができません。お寺や神社は朝が早い分、夕方には終わってしまうことも珍しくありません。
事前に御朱印の授与時間を調べて、時間に余裕を持って出かけましょう。小さなところでは、常に社務所に人がいない場合もあり、食事や休憩をとっていることもあるので、時間帯にも配慮しましょう。
御朱印は必ずいただけるものではない
最後に、一つ心にとめておきたいのが、御朱印は参拝をした証としていただけるものですが、必ずいただけるわけではない、ということです。
すべての神社やお寺で御朱印を扱っているわけではなく、もともと受け付けていなかったり、やめてしまったところもあります。また、京都の西本願寺や東本願寺をはじめとした、偶像崇拝を行わない浄土真宗のお寺の多くは、御朱印を授与していません。
御朱印の受付をしているところでも、授与できる時間外はもちろんですが、法要や行事、祭事があるなどで、どうしてもいただけない場合があります。こだわりが強いところでは、宗派が違ったり、神社とお寺が同じ御朱印帳だから、という理由などで断られる場合もあります。
また、数種類の御朱印を用意している場合、一度に複数の御朱印を授与することを良しとしない場合もあります。
遠方でなかなか来れない方にとっては、無理をいってでも御朱印をいただきたい気持ちもわかりますが、これも修行だと思って出直しましょう。
自分の都合で勝手に来ておいて、怒ったり無理を強いるのは論外です。神社仏閣にとって、参拝者はお客様ではありません。御朱印は商品ではなく、あくまで授かりものです。
参拝したから御朱印をもらうのは当然という態度のないようにわきまえ、それぞれの神社やお寺の考え方に沿って、御朱印をいただくようにしましょう。
まとめ
以上、御朱印や御朱印帳についてご紹介しましたが、最低限のルールやマナーを守れば難しく考える必要はありません。
たとえ御朱印を集める理由が、素敵な御朱印を集めたい、という軽い気持ちであっても、御朱印巡りをきっかけに、さまざまな神社仏閣に参拝して、色んな神様や仏様とのご縁を結ぶのはとても素敵なことです。
また、神様仏さまとご縁をつなぐものとして、心を込めて書いて下さる御朱印は、同じものでも人によって書体が違ったりと、一度として同じものはない、あなただけの特別なものです。
いろんな場所の御朱印を集めるだけでなく、自分の好きな神社仏閣を毎月参拝して、その月のお守りとして御朱印を集める、という楽しみ方もできます。
後で見返して、参拝した場所の空間を感じたり、思い出に浸ることもできる、魅力たっぷりの御朱印集めをぜひ楽しんでくださいね。
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